メタンハイドレートの構造

水分子は温度、圧力がある条件になると、ガスの分子を取り込むことができる籠型のマクロ分子構造を形成します。メタンハイドレートは、メタンがこの水分子の籠型のマクロ分子構造内に取り込まれてできた氷状の固体物質です。

少し詳しく述べると、水分子はその内部に5〜6Å(1億分の1cm)の空隙を持った立体網状(包接格子)構造をしていて、メタンハイドレートはこの包接格子の中にメタンが捕捉(包接)された化合物になります。5〜6Åという大きさは結晶にとっては非常に大きな隙間で、結晶内部にこの様な空隙があると、結晶の安定性に不都合なことであり、この隙間を埋めるためにガス分子が必要になります。一般に、この様な構造をした化合物を包接化合物と呼びます。

包接化合物には包接されている分子が包接格子の外へ出て行くと格子が壊れてしまうものと、包接格子だけで安定して存在するものがあります。前者の代表はガスハイドレートで、ガス分子がメタンの場合をメタンハイドレートといいます。後者の代表は脱臭剤などとして利用されている沸石鉱物(ゼオライト)があります。

メタンハイドレートの包接格子ガスハイドレートは鉱物の一種であり、一定の結晶構造をとります。立体網状構造の大きさと水分子の配列状態は、包接されるガス分子の大きさによって異なります。二酸化炭素、メタン、酸素、窒素など、分子の大きさが5.2Åより小さな場合は単位胞のサイズが12Åの構造T型をつくり、分子の大きさが5.9〜6.9Åの場合には単位胞サイズが17Åの構造U型をつくります。(このガスハイドレートの構造は実験的に決められたもので、天然では必ずしも一様ではありません。)

構造T型の単位胞は2個の五角十二面体(空隙の大きさが7.88Å)と6個の変形十四面体(空隙の大きさが8.6Å)からなっています。これは、8個のガス分子を46個の水分子が取り囲むことを表し、水和数(ガス分子1個に対する水分子の数)は5.75と計算されます。

これから計算されるメタンハイドレート中のメタンガス含有量は水1kgに対してメタンガス9.66molになります。これは1リットルの水に216リットルのメタンガスが取り込まれていることを意味します。実際は空隙がすべてガス分子で満たされているわけでなく、充足率は70〜80%程度であることが多いです。それでも含有ガス量は水1リットル当たり150リットルほどになります。