海底疑似反射面(BSR)
一般に弾性波の速度は、ガスハイドレート層においてハイドレート化していない場合に比べ約2倍に速くなることが確かめられています。 つまり、弾性波がハイドレート層を含む地層中を通過する場合、ハイドレート化した地層とそうでない地層の間に音響的な不連続面が生じ、この境界面が地震探査記録上に強い反射面として記録されます。
この反射面は海底面とほぼ平衡に現れるために、海底疑似反射面(Bottom Simulating Reflector)と呼ばれ、海底ガスハイドレート発見の重要な手がかりとされていました。 しかし、BSR自体の存在はかなり古くからわかっていましたが、メタンハイドレートとの関係が理解されていたわけでありませんでした。
その後、深海掘削の成果とコロンビア大学ラモンド・ドハーティー地質観測所グループの研究により、1977年頃までにBSRがメタンハイドレート安定領域の基部に対応するというモデルが受け入れられるようになりました。このBSRは、層理面と斜交する、水深が深くなるとともに、海底からの深度が深くなる、フリーガスのトラップを形成している可能性が高い、といった特徴を持つことも示されていました。
メタンハイドレートの分布に関して、間接的にBSRに頼らなければならない海域においては、BSRの存在する地点において掘削を実施することが重要となります。そこで従来危険性ありということで実施されなかったガスハイドレート層を掘り抜く実験が必要であることが提案され、実施されたのが1995年11月米国東部海岸沖における深海掘削計画の第164節(ODP Leg 164)航海による実験です。